医学部の教授。
強大な権力を持ち、医者の世界のトップ。
僕は中高生の頃、ドラマ「白い巨塔」やマンガ「ブラックジャックによろしく」を読んでその存在を知った。そして医者になれば、誰もが教授を目指すのだと思っていた。
しかし実際に医者になってみると、そうではない事がわかった。
教授を目指さない若い医師、医学生達
Twitterアカウント(@drkodoc)を使いアンケートを行った。
有効回答数は657票、うち医学生および医師の回答数は460票であった。
医学生、および現役医師の方にお尋ねします。
あなたのキャリア形成の方向として、どれか選べと言われたらどの方向を目指す?
— 独太 (@drkodoc) 2018年9月27日
その内訳は
- 「教授を目指す」=59票(12.8%)
- 「開業やフリーランスを目指す」=342票(74.4%)
- 「研究者を目指す」=59票(12.8%)
となった。
教授を目指す、若い医師および医学生は12.8%
この結果を見て僕自身驚いた。100人いたら教授を目指すのはたったの12、3人しかいないのは、予想よりも低かった。
ただ僕のアカウント(@drkodoc)をフォローしている、もしくはリツイートされた先で閲覧しているユーザー層が、バイアスのかかった集団である事は予想される。
彼らはどちらかといえば、フリーランス思考が強い医学生・医師である可能性が高いはず。
しかしそういったバイアスを加味しても、予想よりもはるかに少ない。25〜30%程度はいると思っていた。
74.3%は開業やフリーランス志向
また開業やフリーランスを目指す、経済的に豊かになれる道を選択する医学生・医師が多いという事もわかった。
バブルがはじけてデフレしか味わった事がない世代が医師になる今、彼らが現実世界でまず何を重要と捉えているのかが見える。
夢よりも現実。
仕事よりも生活。
そういった彼らの、合理的で現実的な思考が見え隠れする。
医学部教授の権力と影響力は、これからどうなるか?
以上を踏まえると、医学部教授の権力や影響力が今後どうなっていくのか、ある程度予想ができる。
教授を目指すという気持ちは、医局に人を集める1つの力になる。求心力になる。
教授を目指す人が減るという事は、医局に人を集める1つの求心力が減る事になり、医局へ人が集まらなくなるだろう。
人が減って組織として規模が小さくなり、影響力が少なくなればなるほど、医局としての魅力も低下していくだろう。
医局という組織は、まさにそんな負のスパイラルの真っ只中にある。
自由志向 vs 新専門医制度
しかし専門医制度の変更により医局の求心力を復活させようとする動きもある。
制度変化や思考の変換による医局離れの圧力と、医局に力を戻そうとする圧力、これらの2つの力のぶつかり合いになるが、僕の予想では前者の力が後者の力を勝ると思う。
これといった明確な根拠は無いのだが、得てして歴史を振り返ると、人間は1度開かれて自由で便利な世界を知ると、2度と元には戻れない生き物だという事がわかる。
民主主義が始まってからは絶対王政は無くなった。
資本主義が広まってからは共産主義はほとんど無くなった。今もなお無くなりつつある。
インターネット、携帯電話が使われ始めてより自由な世界になり、それに逆行する人は滅多にいない。
大きな時代の流れには逆らえないものではないのだろうか。
なお定期的のこの調査は行っていきたいと考えている。