医師のライフハック シリーズ「勤務医はつらいよ」 医師コラム

「お医者さんってお金持ちなんでしょ」ー世間の認識と乖離する現実、勤務医の苦悩

更新日:

お仕事何されてるんですか、と尋ねられて、医師だと伝える。するとたまに、こんな事を言われる。

すごいですね、お医者さんってお金持ちなんですよね

その時僕は必ず

「そうでもありませんよ、あはは」

と返答をする。そうすると大抵

「またまたご謙遜を」

みたいな返答が返ってくる。

もし仮に本当にお金持ちだとしても、遠慮の国日本では上記のように答えるのが正解だと思える。まあ実際には、それほどお金はもらえていないので、本心で上記のように言っているのだが…。

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なぜお医者さんはそこまでお金持ちではないのか?

医師の平均年収は1200〜1300万程度だと言われている。

これは年齢調整を行なっていない、そのままの意味での「平均」なのであまり意味がない。

実際のところ若手は1000万、中堅1200万、上級医で1500万といった所だろうか。

これだけのデータを見ると、お給料そのものはたくさん貰っているように見える。この額を稼ぐのは人口の約1〜2%だと言われているので、まあ小中学校の同級生で2人いるかどうか、くらいだろう。

しかし実際、世間が思っているほど医者はお金をもっていない。なぜだろうか。

 

忙し過ぎて奥さんが働けない

近年は女性の社会進出が進み、共働きの家庭が増えた。

またシングルマザーも増えて、働く女性は増えたように感じる。

一方で医者の奥さんは、未だに専業主婦やかろうじてパート勤務くらいの人が多いように思う。

その理由は単純明解。

医者である旦那さんの仕事が忙しすぎて、家の事が全くできないため奥さんが専業主婦的なポジションにならざるを得ないのだ。

それでも2人分くらい稼いでいるお医者さんが1人いれば、十分じゃないか?

という意見があるだろう。

しかし実際、年1200万を1人で稼ぐよりも、年600万を2人で稼ぐ方が税率が低く、可処分所得は増える。

医師の場合下手に高収入のため、現在の日本の税制では非常に不利な立場なのだ。

年収1200万の医師1馬力の家庭の経済状況は、年600万を2馬力、という家庭に可処分所得では負けてしまうこれが世間の想像より医師が裕福では無いカラクリだ。

 

高級外車を買ったり、つい使ってしまう人が多い

年600万2馬力家庭に負けてしまう、医師と専業主婦の家庭だが、実際にさらに不利な要素がある。

そう、つい散財してしまうのだ。

年収600万の2馬力だと、自覚として「自分が稼いでいるのは月50万」という意識がある。

仮に買い物をするとして、50万の買い物をする時は

「自分の月給分かあ」

と心の中で思うだろう。

一方年収1200万の医師の場合、自覚としては月100万の給料を貰っている事になる。

すると、仮に50万の買い物をする時の心理状態としては

「まあ自分が10日働けば貰える額だな」

と思うわけだ。

しかし実際、家庭全体の経済状況としては年収600万2馬力家庭に負けているわけなので、この心理の逆転現象は非常に危険だ。

散財リスクが圧倒的に医師の家庭の方が高い。

これは家、車など大きな買い物の際により顕著だ。理由はあまりよくわからないが、おそらく周囲の人へのアピールが多分に含まれている。

つまりは見せつけたいのだ。自分は医者でお金をたくさんもらっているんだ、と。

その心理が、むしろ家庭をキツくしているにも関わらず。

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勤務医が稼ぐには

そんな勤務医の家庭の経済状況を改善させるには、基本的には3通りのやり方がある。

 

無駄遣いせず資産を構築、投資を開始する

まずは上記のような無駄遣いマインドを改める必要がある。年収600万の2馬力家庭より可処分所得は低い、という事を理解した上で無駄遣いはしないようにする。

そして資産を構築し、投資を開始する。

2018年現在の日本では、配当金などの課税率は約20%であり、医師の高収入に対する課税率よりも圧倒的に低い

低い課税率の収入を増やせば、資産構築スピードにブーストがかかる。

つまり医師の家計は、散財せずに投資に回す資産構築がいかにできるか、これが運命の分かれ道であると言っても良い。

もちろん、結婚式や海外旅行などお金をケチりすぎると悲惨な事になる出費もあるので、その辺りは常識の範囲内でおさまれば良いだろう。

 

条件の良い病院へ転職する

常勤先の給料が低ければ、転職を考えるのも良い。

とはいえ家族との関係もあるだろうから、そんなに遠くに転勤する事はできないだろう。

その辺りの事もふまえて、実現可能性をエージェントに相談してみるのは悪く無い

どれくらいの給料、労働時間、条件で近くの勤務先があるのか、探してくれるはず。大手で言えばエムスリーキャリアエージェントや、メディウェルなどがある。

もし仮にそれで見つからなければ、今の勤務先が周辺地域では最高の条件という事の確認にもなるので、納得して働けるだろう。

 

平日夜、休日にバイトをする

転職が難しい、となれば給料を増やす手段はたった1つしかない。それは空いている時間を使ってバイトを入れる事だ。

僕はバイトに力を入れているが、転職ほど重い選択ではないため、その点は少し気軽にできる。

まずはバイトから始めてみるというのも悪く無い。とりあえずいくつかある紹介サービスに登録して案件を探してみる事をオススメする。

自分のできる範囲で行えば良い。無理せず月に1回の当直と、1回の平日24時間当直をすれば、月20万くらいにはなるだろう。

それを全部貯金すれば年間240万、税引後で200万。

こうして少しずつ裕福になって、世間の「お金持ちなんですね〜」という声に答えられるようになりたいものだ。

僕がバイトを頑張る理由

独太がよく使うサイト

医師転職のエムスリーキャリア

医師転職のエムスリーキャリア は、あのm3が運営する医師向けのキャリアサービス。圧倒的な規模感が特徴。

常勤はもちろん、定期非常勤も非常に豊富。大手m3を運営する会社の元には、自ずと情報が集まってくるよう。

医師の転職という狭い業界において、やはり大手の情報力は必要だ。エージェントサービスなので、希望に合った転職先を開拓してくれる。

マイナビDOCTOR

マイナビDOCTORは、全国規模47都道府県を網羅する、大規模なサービスだ。

親が大手人材のマイナビだけあって、流石の全国網羅具合。

医師転職というカテゴリにおいて、ここまでは外す事ができないだろう。

フリーになるなら、まずは「太い常勤+定期非常勤」から始める事を、オススメする。マイナビDOCTORで常勤転職+定期非常勤という形で探すのは、効率が良い。

民間医局

本物の医局を抜けたので、民間医局にお世話になっている。

医師賠償責任保険は、絶対に入るべきだ。

自分を医療訴訟から守ってくれるのは、保険しかない。

またバイト案件もそれなりに送ってくれるので、上記2つと組み合わせてたまに使っている。

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