医師のキャリア コラム

専門医はいらない?取得の意味とデメリットについて

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専門医。

医師や医学生であれば、必ず聞いたことはあるだろう。

そうでない人も、いつも受診するかかりつけの病院に「○○専門医」という証書が飾られているのを見たことがあるかもしれない。

何かしらの理由でネットで病院を検索する時に、その科の専門医を持っている病院を探してしまっているかもしれない。

徐々にこの「専門医」という言葉が、インターネットを通じて若い人を中心に世の中に認知され始めているように感じる。

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新専門医制度

2017年ごろから専門医制度が変わり、新専門医制度へと移行しつつある。

今までは

あなたは専門医です

と決めていたのが「学会」という、その科のお医者さんが集まって作る組織だった。

しかしそれだと公平性や質が担保されないだろうという言い訳の元、厚生労働省が絡んで来て

国主導で医師の質を担保する専門医制度を作るぞ!

と偉い人が言って、できたのが新専門医制度だ。(厳密には異なるが、ザックリとした理解をするにはこの程度で良いと思う。)

この新専門医制度、今までのボスだった学会と厚生労働省の折り合いがうまくつかず、結局学会の息がかかった、でも厚生労働省も何枚か噛んでいるスクランブル状態になり、余計にややこしい状態となっている。

厚生労働省の目的としては、専門医発行の権利を厚生労働省が持つことで、日本の医師に対して権力を持ちたいという思惑から、先ほどのような建前を使って新専門医へとこぎつけた。

一方学会としては、色々な大学のお偉いさんが集まって、昔の「医局システム」の復興を希望していた。医局システムを復活させるには、医局に医者が集まる状態にしなければならない。

そこで「医局に入らないと専門医は取れないようにする」とか「特定の地域で排出できる専門医の数を調整する」という方針が生まれた。

とある専門医を取得したければ、医局に入らなければならない。

そうしないと取得できないようにする事で、医局に人が集まり、お偉いさん達は嬉しい

厚生労働省としては医師に対して権力を持つ事ができて、かつ地域ごとの専門医人数を調整する事で、特定の科になりたいお医者さんが多すぎる地域では、もしその科になりたければ他の地域(多くは田舎)に行って何年か働かなければ専門医が取得できない、という状況を作る事で地域医療の崩壊も是正できると思ったはずだ。

詳しくは下記記事を参照していただきたい。

医局崩壊の原因と結果、新専門医制度と今後について

つまり何が言いたいかと言うと、これから専門医を取得するのには今まで以上にコストがかかるという事だ。

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専門医取得のデメリット、支払うべきコストについて

専門医を取得するのにかかるコストは、どの科の専門医を取得するかで大きく異なる。

3〜4年で取得できてしまうものから、10年くらいかかるものまであるからだ。

ここでは簡略化するために、平均で取得までかかる年数を6年とする。

専門医を取得するのに支払うコストは2つ存在する。金銭的コストと時間的コストである。

これら2つのコストについて、専門医をこれから取得しようとしている20代の若い医師と、バイトだけで生活する40代の医師を比べてみよう。

 

専門医取得のための金銭的コスト

この6年間、おそらく安い給料、年間1000万程度で馬車馬のように働かされる事になる。9時ー17時のバイト医であれば市場平均で2000万はもらえるはず。

その年間の差額は

2000万ー1000万=1000万

金銭的コストがかかっている。これが6年なので、6000万円のコストがかかっている。

さらに言うならば、金銭的なコスト以外にも「若い時の貴重な時間」という重要な時間的コストを支払っている。

上記のコストは、あくまで同じ労働条件、9時ー17時で働いたとしても年間1000万の金銭的コストを支払っているわけであって、時間的コストは計算の範疇に入っていない。

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専門医取得のための時間的コスト

専門医取得のために月2回の当直、1日4時間の残業をコストとして支払ったとする。

このコストは金銭的コスト、時間的コストに分類する事ができる。金銭的コストについては上記の通りだとする。

1回の当直が15時間、月労働日が22日であるとすると、毎月の余分な労働による時間的コスト

15時間×2回+4時間×22日
=30+88
=108

月108時間のコストを支払っている。

つまり6年間では

108×12×6=7776

7776時間、若い頃の時間を売っている事になる。

この時間的コストを、わかりやすく比較するために金銭的コストへと変換してみる。

自分の時間をいくらで売るか、と考えた時、安めの誰でもできる医師のバイトの時給でも5000円〜1万円あたりが相場であるから、概算で4000万程度の価値にはなる時間であろう。

さらに若さというプレミアム、若い頃の時間はより貴重であるというプレミアムを加味して、1.5倍の価値があるとするならばこの支払っている時間的コストは約6000万円程度の価値になるだろう。

6000万の金銭的コストと6000万の時間的コスト、つまり1億2000万のコストを6年かけて支払っている事になる。年間2000万円だ。

 

専門医取得の意味

専門医を取得するメリット、意味とは一体何だろう?

就職やバイトで仕事を探す時に有利、それは確かにあるだろう。

しかし人柄やコミュニケーション能力など、そういった部分がコメディカルや現場に与える影響も評価される時代になるだろうし、専門医さえあればオッケーという事にはならないだろう。

明確なメリットの1つは、開業した時に専門医を名乗れる事だ。

今の時代はインターネットで専門医を検索できるし、やはりいくつも専門医を持っている病院を敬遠したり、専門医がない医師の病院を敬遠する傾向はあるようだ。

開業するにあたっては、専門医というわかりやすい肩書きは必要だろう。

しかし僕のように、開業するつもりもなければ長く働くつもりもない、サクッと今のうちに稼ぎ切ってしまおうとしている人からすれば、果たして1億程度のコストを支払って専門医を取得する事は、それに見合う価値をもらえる、合理的な行動なのだろうか。

僕はそうは思わない。1億のコストに見合う価値なんて絶対にない

これからの若い人は、専門医取得のためにコストを支払ってお偉いさんを肥え太らせる事をせず、自分の幸せを追求して自由な生き方をするべきだと思う。

若手は専門医を取得せず、バイトで稼ぎ楽しく生きる。これが合理的な解だ。

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