医師のバイト 後期研修医

何の専門医ももたない「フリー後期研修医」が医局に頼らずバイトで生きていくには?

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最近、初期研修を終え医局に属さない医師が増えているという。

確かに医局に入らなくても医師として雇ってくれる病院はたくさんあるし、バイトは自分で探せる。安定性やバイト先の確保をメリットとして提供していた医局は、そこに所属するメリットを奪われた形になる。

実際、医局に入らずに生活している「フリー後期研修医」のプライベートは充実しているようだ

雑務は少なく、労働時間は適切で、給料は医局に所属している時よりも高く、理不尽な転勤もない。

あらゆる面で恵まれている。

しかし、何の専門医ももたない彼らは今後医師としてやっていけるのだろうか。どこにも所属しない根無し草のような彼らは、今後淘汰されてしまわないのだろうか。

彼らに話を聞くと、どうやらそんな不安は一切無いようだ。

それどころか、医局に所属していない事がむしろメリットとして今後は働くと思っているらしい。鋭敏に時代の流れを察知し、誰にも束縛されずに自由に動けるからだ。こういうのを「フットワークが軽い」と呼ぶのだろうか。

さてそんな彼らだが、何も考えずに生きているわけではない。

一体、何の専門医ももたない後期研修医が、医局に頼らずにバイトで生きていくには何が必要なのだろうか。

 

産業医を取得する

需要に順応する

最も手っ取り早いのが、産業医を取得してしまう事らしい。

国が企業にストレスチェックを義務化したり、電通の女性社員自殺の件もあり労働環境に徐々に厳しくなってきている。

昔では考えにくい「ノー残業デー」を実施している企業も多数あり、プレミアムフライデーには夕方から飲み屋が賑わっている印象を受ける。

そういった環境で産業医の需要が拡大しているという。

産業医になるには、一定単位の講習会を受ける必要がある。

集中的に講座を受けて免許を取得してしまうコースと、定期的にパラパラと行われる講習会に複数回参加し取得する2種類の方法がある。

いずれも講習会の参加のみで取得できてしまうため、それほど取得困難な印象は受けない

このように、時代の変化があると仕事の需要は確実に変化する。こういった変化にすぐに対応できるというのは、どの組織にも所属していない事による「足枷の無さ」と「それによるフットワークの軽さ」が功を奏しているのかもしれない

 

産業医の仕事

仕事の内容としては、嘱託の産業医と専属の産業医、2種類が存在する。

前者は1ヶ月に1度の職場巡視などを行うのみで、雇用形態としては非常勤である。ある意味これも「バイト」の側面を持っていると言える。

後者はその会社の社員となり、常勤で勤務する。そのため専属産業医となった場合はこちらが1つのメインの仕事、という事になる。

産業医の仕事はエムスリーキャリアエージェントが案件数が豊富でオススメだ。

 

健診バイトを行う

初期研修を終えた人であれば、技術的には誰でも可能であるのが検診バイトだ。

一般に学校や企業、団体で行う検診に対して問診や診察、検査値の説明、心電図やレントゲンの読影などを行う。

これらの検査値に対する考察は、初期研修の2年間でみっちりやるはずである。心電図も循環器専門医ほどの読影力は当然求められておらず、あくまでスクリーニング検査として設けられている。

スキル的には後期研修医であれば誰でも可能なはずなので、まずは着手しやすいと言える。

その分、バイト代もやや安い。2018年現在は半日3〜4万、1日6〜8万くらいが相場だと思う。

当たり前ながら春には依頼量がグッと増える。新入生や新入社員などをまとめて検診するからである。季節性がある珍しいバイトでもある

【医師の健診バイト】仕事内容と時給、注意点について

 

透析バイトを行う

こちらも検診バイトに次いで簡単。

一般に透析は時間がかかるため、急変時に対応するため医師が常にいる必要がある。そのため患者が透析している間は、透析する病院に医師を常駐させる必要がある。

いわゆる「急変時対応の待機バイト」だ。

透析患者は循環、神経どちらも状態が悪い人が多く、リスキーな患者層である。穿刺時の迷走神経反射はもちろん、ST変化を伴う心電図変化、出血などは念頭に入れておく必要がある。

穿刺は看護師がやってくれる施設もあるが、医師が行うとする施設もある。これらは一般にバイト紹介の条件に記載されているため、確認しておくと良い。

透析バイトも案件数が増えてきている。それくらい腎臓を患っても生きながらえる高齢者が、この日本に増えてきたという事だろう。

透析バイトを行うのであれば、腎臓内科は初期研修中にローテートしておくと良いかもしれない。

 

初期研修中に救急に注力し当直バイトをこなす

初期研修中、そこそこ大きい病院で救急を頑張ってきた医師であれば、小さめの病院の当直バイトは問題なく行える。

日本に多く存在する小さめの病院は、夜間に画像検査や血液検査などは行えないことが多い。そのため簡単な治療と処方なら可能だが、それ以上が必要であれば総合病院へ紹介状を書いて送るしか無い

そういう「状況の振り分けスキル」が初期研修中の救急当直で十分身につける事ができたのであれば、このバイトを行うことは可能である。

急変対応のほぼ寝当直であれば半日5万、1日10万程度が相場。救急外来も設けているような病院であれば、もう少し値段は上がる。

 

女性専用バイトを行う

バイトには女子大の検診、乳がん検診など、医師が女性である方が好まれる場合がある。

そういった場合、女性医師は優位である。男性限定というバイトは見たことないが、女医限定というバイトはたくさん存在する。

今後女医の数が増えてくることと、国民全体のうち若者の割合が減ってくる事を考えると、需要と供給のアンマッチは今がピークかもしれない。

 

大学や初期研修時代のネットワークを駆使する

フリー後期研修医が最も熱弁していたのは、やはり人脈が大事だという話だった。

大学の同級生と一緒に在宅医療をやっている人もいれば、初期研修中にお世話になった医師が開業をしてそこの外来を手伝ったりしている人もいるらしい。

やはり大量の医学生、医師と人的ネットワークがつながる時代に築いたネットワークは、雇う側からしてもぜひ使いたい。と同時に、そういった時に「使われたい人材」だと思われる事も重要なのだな、と実感した。

 

最後に、バイトを増やすのであれば、民間医局の医師賠償責任保険も入っておいた方が良いだろう。

どんな人が医師賠償責任保険に入るべき?

まとめ

  1. 産業医を取得する
  2. 検診バイトを行う
  3. 透析バイトを行う
  4. 初期研修中に救急に注力し当直バイトをこなす
  5. 女性専用バイトを行う
  6. 大学や初期研修時代のネットワークを駆使する

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本物の医局を抜けたので、民間医局にお世話になっている。

医師賠償責任保険は、絶対に入るべきだ。

自分を医療訴訟から守ってくれるのは、保険しかない。

またバイト案件もそれなりに送ってくれるので、上記2つと組み合わせてたまに使っている。

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