いざ医局を辞める決意ができた。
あとは具体的な算段を考えて実行に移すだけだ。
しかし待てよ、医局を辞める際、どうやったらトラブルが起こる事なく円満に辞められるんだ?
そう思っている人は多いはず。
実際には完全に円満退局という形に持っていくのは難しいが、なるべくできる事はやっておきたい。
退局理由が「とにかく仕方がない」という事を教授に伝えよう
退局の理由として、例えば
何となくこのままダラダラやり続ける気がなくなった
というボンヤリとした理由だったとする。
決してこのままの理由を医局の上層部に話して退局の意思を伝えるようなことは、やってはいけない。
基本的に退局理由は不可抗力であると良い。
- 自分ではどうしようもできない
- 退局をするという道以外に代替する方法が見つからない
そういった理由であると良い。
もし仮に大した理由がないとしても、何かしらの理由をでっち上げるくらいの方がそのままストレートに伝えるよりは良い。
例えば病気。精神科でうつ病と診断され薬を内服している、と言われれば無理に引き止めることはできないだろう。逆に原因がはっきりとした治療可能な病気の場合「1年休暇をあげるからオペして療養してまた復帰して」と言われ退局まで至らない可能性がある。
他にも「それ仕方がなくないな」と言われてしまう理由として、症例数や専門性など、病院や働き方を変えればカバーできそうな内容がある。
実際にこれらで悩んでいて、病院や働き方を変える事で改善され自分が満足できるようであればめでたしめでたしだ。
あの手この手で退局を引き止めようとするかも
しかし本当に退局したい場合、こういった理由を述べると
「別の病院にするから」
「週4勤務で良いから」
「定時上がりで良いから」
など、条件付きの勤務に変わって結果的に退局まで至らない可能性がある。
退局理由としてとにかく仕方がない、不可抗力的なものである、という事が、ある意味「自分の意思ではない」というニュアンスを医局上層部側に伝えるので、こじれる可能性はグッと減る。
こちらの記事も参考に。
なるべく早く言う
いざ退局の覚悟ができて、メディウェルやエムスリーキャリアエージェントなどの
転職サイトに登録しエージェントと面談、来春からの転職先が確保されたとする。
今は6月だとしておく。退職まであと10ヶ月ある。
しかし教授や医局上層部に退局の意思を伝えるのがなんとなく気まずくて、気後れしてしまった。
年内には言おうと思っていたけれど伝えるのが億劫で、何となく1月になってしまった。あと3ヶ月しかない。
新年が明け、医局も来年度の人事を考える時期。医局長から人事が言い渡され、来年度から別の病院へ勤務するよう言われてしまった。
そこで、やっとの思いで退局する意思と、来年度からの勤務先は転職サイトで見つけて確保できている旨を伝えた。
当たり前であるが、医局長は大激怒。他の人の人事も変更せざるを得なくなり、医局全体が大迷惑を被る事になってしまった。
ーというように、伝えるのが遅いと大惨事になる事がある。上記例はかなり極端だが、伝える時期が遅いと多かれ少なかれトラブルが発生してしまう。
とにかく意思が固まったらなるべく早く伝える。
誰でも簡便にできる事だが、退局時のトラブルを減らすためには非常に重要な事だ。
ロールモデルになるような人を探す
他科の大学の先輩後輩や、同科の先輩など、退局し自ら転職していった人の話を聞くようにしよう。
彼らが何に苦しんだのか、どう大変だったのか。
色々と聞くことで自分に退局時にそれらを活かすことができる。その医局や地域特有の問題についても教えてくれるかもしれない。
「失敗したことは何ですか?」
「やっておくべきだったな、と思うことは何ですか?」
など、成功談よりも失敗談を聞くと良いだろう。
成功談をマネても成功できるとは限らないが、失敗談をマネないように心がけることで同じ失敗をする確率を減らすことができる。
また、なるべく彼らと人間関係を保つようにしたい。
大きな組織を離れると人脈というか、医師同士の面識はなかなか増えない。そのためここで関わった同士とは、なるべく定期的に会って関係を維持し、お互いに情報交換をし生きていくのが良い。
最後に
一番大事なのは、無事退局し自分の希望が叶う事だ。
トラブルを避けよう避けようとするあまり、医局側に条件を譲歩してはいけない。
あと半年だけ働いて
あと1年だけ外病院で働いて、それで無理なら辞めていいから今は辞めないで
まるで別れ話を切り出した後にすがりついてくる人のように、医局の上層部が暗に「とりあえず判断を保留してくれ」と懇願してくるかもしれない。しかしそれで半年だけ、1年だけと思ってはいけない。
そのままズルズルと医局に所属し、時間ばかりが経って気がついたら辞めるに辞められなくなっている、なんて事は十分あり得る。
自分の中で何が最重要なのか、一度リストアップして上から順番に叶えていく、ただそれだけの事。
「退局したい」という意思よりも「トラブルを避けたい」事が重要、ということは無いはずだ。
もしこういう強い意思表示ができず、つい上司や職場の同僚に同情してしまって退職できないのであれば、一度プロである転職エージェントに相談してみるのも良いだろう。
彼らは何人もの医師を転職させてきたプロであり、ノウハウがある。
円満な退局というのは医師の転職にあたって重要であるから、プロのノウハウを利用してしまうのは悪くはない。
まとめ
- とにかく仕方がないという事を伝える
- なるべく早く言う
- ロールモデルになるような人を探す