僕は後期研修医になってからすぐバイト紹介会社に登録して、バイトを始めた。そして今でも定期的にバイトに行っている。
今の時代、インターネットですぐにバイト案件を見ることができる。
例えば医師バイトドットコムでは、自ら探さなくてもメールでバイト案件が送られてくる。それを眺めていて、いいなと思う案件があれば手をあげれば良い。
ほとんどノーコストと言っても良い。
そんな時代に、僕は戦略としてバイトに力を入れなければいけないと思った。
僕がバイトを始めた理由
僕が医師としてのバイトを始めた理由は単純明快、お金が欲しいからだ。正確に言えば、お金の先にある自由が欲しいからだ。
僕は開業医の息子でもないし、大金持ちでもない。だから一定以上の資産が無ければ、自然と行ける道は狭まってしまう。
そこには確実に不自由が存在する。お金のために嫌な事をしなくてはいけない。お金のために自分の時間を、人生を切り売りしなければならない。
いわゆる「経済的自由」をまだ勝ち取ることができていない状態だ。
親が資産家である確率が高い、医学部生
一定の割合で医学部に入学してくるような人たちは、親が資産家である。
彼らは生まれ持って経済的自由を手にしており、お金のために働く必要が無い特別な存在だ。
彼らは生まれながらにしてこの資本主義社会において自由を手にした、運が良い人達だ。
無い手札を嘆いていても仕方がない。無いなら無いなりに、自分の持てる手札で最高の一手を出し続けるしかない。
僕は戦略を考えた。
開業、転職、バイト、様々な方法があるが、今はまずバイトに力を入れる事が重要であると判断した。
僕が今バイトを頑張る理由
僕が今、医師としてのバイトを頑張る理由はいくつかある。
患者が減る日本
日本の人口統計を見ると、2040年に患者層である後期高齢者がピークアウトする事がわかっている。以後高齢者はもちろん、若手も徐々に人口を減らしていく。
つまり顧客である患者が減るのである。
現在2018年であるから、あと22年しか猶予は残されていない。逆に言えば22年を最大効率で乗り切る事が重要な戦略だと言える。
国力が衰え医療費を減らされる日本
さらに、人口が減り高齢者が増え、労働生産人口が減ってしまう。労働生産人口が減れば税収は減り、国を支える産業も存続が難しくなる。
さらに言えば、日本を支えている自動車産業、パナソニックやシャープなどの電気産業もこの変化の時代に飲み込まれつつある。
変化の大国アメリカでは、自動車のイノベーションが進んでいる。イーロン・マスク率いる電気自動車産業のテスラ・モーターズや、自動運転技術に必要不可欠なGPUという画像処理に必要なチップをほぼ独占しているエヌビディアなど、次世代の根幹を担う可能性が高い企業が次々と生まれている。
そういった人口構成の衰えと、産業の衰え、これらがダブルパンチで今後の日本を襲う。
税収が減り国力が衰えれば、医療費は削減される。無い袖は振れない。
そうなれば、病院の収益を圧迫する事は間違いない。
つまり、日本でしか医師として働けない人材は船が沈みきる前に稼ぐしか無いのである。
そこで選択肢は開業と勤務、大まかに分かれて2つ存在している。
開業のリスク
勤務医とは違う、開業特有のリスクというのが存在する。
レバレッジを賭けている
基本的に開業をするにあたって、銀行から借入金を作ることになる。土地、建物、機械、もろもろを合わせると開業コストが数億になるのは普通であるからだ。
これらをキャッシュでポンと払える資産家は少ないだろう。
つまり開業とは、その借入金を使って自分という人材に投資をすることと同じである。
- 患者からの信頼が厚い
- 腕が立つと評判
- 患者が増えるばかり
そういう未来の自分に、銀行からお金を借りて賭けているのである。
これは自分に相当の自信が必要である。
当たり前だが借入金には利子が発生する。思った以上に患者が来ず、一定の利益をあげる事ができなければ赤字になる。そして赤字が続いて利子が払えなくなると、倒産する。
倒産すると、莫大な借金を抱えることになる。もちろん担保にしている土地や車、建物や病院の機械は没収され競売にかけられる。一文無しになるだけなら良いが、それでも借入金を返しきれない場合は借金だけが残る。
こういった可能性がゼロではないのが開業である。
ましてや、上記のように今後沈みゆく日本を舞台に、今後減りゆく日本人を顧客とし、銀行からわざわざ借入金を作ってレバレッジを効かせ、勝負に賭ける。
それはもはや狂気の沙汰だと思う。
固定資産を持つ事になる
さらに開業特有のリスクは、借入金のほとんどが固定資産に変換される事にある。
土地、建物、高額な医療機器は、いずれも固定資産である。そして資産の多くを流動資産ではなく固定資産で持つ事は、経営上のリスクとなる。
固定資産の代表格は不動産であり、これらの資産は流動性が低い資産である。
流動性が低いと、すぐに売りたくても売る事ができない。
資産のうち多くを流動性の低い固定資産で持つと、仮に資金繰りが厳しくなった時に「資産を即時売却して現金を作り資金繰りにまわす」事ができない。
資金繰りが厳しくなった時、固定資産が多いと資金がショートしやすい。
赤字でも資金がショートしない限り倒産はしない。しかし固定資産がほとんどの医業開業ビジネスは資金がショートしやすいため、赤字に転落することが許されない。
安全に開業医をやるならば、潤沢な現金が無ければできないという事になる。少なくとも自分の想定内の赤字におさめ、それに対応できるだけの有事のキャッシュ(もしくはそれに準ずる流動資産)を持っていなければならない。
最も、それほど潤沢な資金があるのであれば開業なんてしなくて良いのだが。
さて、既に述べたように今後衰えゆく日本という国では医療費は削減されていく。つまり開業医の利益は圧迫され、資金繰りが今よりも厳しくなる可能性が高い。
赤字を出し始めると資金がショートしやすいビジネスで、今後赤字が出やすくなるとわかっていて突っ込むのは、なかなか厳しいと言わざるを得ない。
バイト医=ローリスクミドルリターンの勤務医の道
今から日本で開業する道がハイリスクハイ〜ミドルリターンだとすれば、バイトに注力する勤務医はローリスクミドルリターンであると言えよう。
今のうちに稼ぎ切ってしまう
日本の医療市場は、2040年にピークを迎え以後低下を続けると予想される。
いや、もしかしたら2040年にピークを迎えるのはあくまで人口動態であって、国力や産業の衰えからはもっと手前でピークを迎えるかもしれない。
だとするならば、医師が高給をもらえていて自由にバイトで稼げるこの時代に、一気に稼ぎ切ってしまうというのは1つの方法だと言える。
マクロな視点で見れば、あと30年経過すれば勤務医だろうが開業医だろうが、医師という職業は今より貧しいだろう。
また若い医師たちがこぞってバイトや転職市場に参加するようになり、市場がより効率化されることで極端に旨味のあるバイトは減っていく。
ある意味今が、勤務医にとってバイトで最も稼げる時期であると見ることができる。
効率よくバイトを探すには
効率よくバイトを探すには、いくつかある紹介会社を使い分けると良い。
サクッと自分が好きな時に好きなだけスポットバイトに申し込むのであれば、医師バイトドットコムが圧倒的にオススメだ。
明らかに件数が多く、自分の近所のバイト案件が見つかる。いきなり非常勤で定期的に行くのはハードルが高いだろうから、まずはここからバイトデビューをしてみるのが良いだろう。
また大手のマイナビDOCTORも、同様にオススメできる。
元の会社が人材大手のマイナビであり、全国を網羅している。
単発やスポットというよりは、定期非常勤先を探すのに優れているサイトだ。
サイトごとに特性が異なるので、うまく使い分け、定期非常勤とスポットを組み合わせて、自分だけのシフトをうまく作ろう。
非常勤の場合、登録していない人はとりあえず民間医局が無難。スポットで慣れたらこちらに移行するのが良い。
また民間医局では、同時に賠償責任保険にも加入する事ができる。バイト先での有事に備えて医師賠償責任保険も同時に入ってしまおう。
いずれもとりあえず登録だけしておいて、メールでバイトの案件を流しておくだけでも良いと思う。
バイトの相場や、医師が足りておらずバイト発注案件数が多い特定地域がわかるようになる。
これらの情報は今後日本で医師としてうまく立ち回るために、知っておく必要がある情報だ。


バイトではなく転職する、つまり常勤医として働く場所を探すのであれば、他の複数の転職サービスを使い分けた方が良い。