よく
研究者を目指すなら、医者になった方が良い
バイトで飯が食える
という話を、医者がしているのを耳にする。
全くもってバカげた話だ。
研究者が飯を食えない日本
そもそも、研究者が研究だけをやって飯が食えない、という環境が異常。
唯一その環境を手に入れる事ができるのは、大企業の研究者だけだ。
研究者の経済的な支えは、大企業の利益が担保している。
おかしな話である。
科研費がことごとく削られ、経済規模に対しての科研費が先進諸外国に比べると圧倒的に低いこの国は、研究者をつぶしたいらしい。
研究者をつぶすという事は、将来をつぶすという事。
将来の日本を支える基幹産業となるような発明、研究に投資をしなくなるという事だ。
日本にはもう、研究者を支える体力が無い
一体なぜこんな事になるのだろう。
単純な話だ。
もう日本に研究者を経済的に支える体力なんて、残ってないのだ。
優秀な研究者は海外に行くし、そこそこ優秀な研究者は企業に就職する。
日本の研究者が唯一研究環境を保つ事ができるのは、これくらいだ。
そして、医師免許さえあれば日本で医師をやりながら、研究者としても仕事を続けられるという意見が出てくる。
医師だからこそ研究者をやりながらでも食っていける、って
冒頭の
医師ならば日本でも研究者を続けられる
という意見のおかしな事に、気がつくだろうか。
そもそもこの生活を成立させるには、医師免許を持っている医師という人間に
- 週3くらいのバイトとしての仕事がある
- 医師のバイト代が高単価である
という、2条件が必要になってくる。
この条件が揃って初めて、医師が研究をしながら、つまり自分の生活費は自分で稼ぎながら、研究を趣味のように自前でできる、という事になる。
この前提が、何十年も続くと思うのだろうか?
今後医師が余り、医師のバイトも減ってくるだろう。
医師のバイト代も下がるだろう。
そうなっても、同じ事が言えるだろうか?
国民皆保険の日本では、あくまで医師免許の経済性は、国が担保しているのである。
人口構造や、国の財政状況によって変化するのは当たり前のことだ。
今の医師の労働環境に甘んじて
医師ならば日本でも研究者を続けられる
とか言うのは、はっきり言って将来が何も見えていない。
その曇った目で、良い研究ができるのかと僕は問いたい。
日本の医師は研究者を目指してはいけない
以上をふまえて、日本の医師は研究者を目指さない方が良いと思う。
今の経済状況、つまりバイトを週に数日するだけで生活できるような状況は、絶対に長く続かない。
あとで露頭に迷うことになる。
もしどうしても研究が続けないならば、海外に行くか、企業に転職するか、経済的にガンと大成功して盤石な体制を先に築いてから行う方が良いだろう。
でないと、20年後に後悔することになる。
医師であり研究者である前に、1人の人間だ。
養う家族がいるなら、彼らを露頭に迷わせることはしてはならない。
もし研究に一生を捧げたいという、強い思いがあるならば、結婚せず家庭を持たず、養う人間を誰も持たないというのは、1つの方法かもしれない。
自分1人であれば、どれだけ医師が余っても、週数日のバイトをするだけで、生き延びることはまず間違いなくできるだろう。
家庭を持ち、医師のバイトをしながら研究をするという生活を望むなら、それは今後数十年で絶対に成り立たなくなるので、オススメしない。