シリーズ「勤務医はつらいよ」

医者なんて「やってられない」と思うタイミング9選

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医者もある程度の年数が経つと

医者なんてやってられないな

と思う事に、遭遇する。

人によっては、もう毎日思ってるよ、という人もいるかもしれない。

 

医者なんてやってられない、と思うタイミング

僕が体験した「医者なんてやってられない」と思ったタイミングは

  1. 死力を尽くして外来をやっても、遅いと言われる時
  2. 当直中、やっと眠れると思ってベッドインして5分で呼ばれた時
  3. 人が足りなくて36時間くらい働いている時
  4. 当直明け、やっと仕事が終わったと思って帰宅しようとしたら急変した時
  5. 当直明け、自宅のベッドで快眠しているも、くだらない看護師の電話で叩き起こされた時
  6. 気づいたらプライベートな時間を過ごさず3ヶ月経っていた時
  7. 患者の理不尽なクレームを受けた時
  8. 患者の汚物や血液に汚染された時
  9. 不慮の事故が発生して裁判になりかけた時

の9つ。

この9つは、記事をご覧の皆さんも1つや2つ身に覚えのある事では、無いだろうか。

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1、死力を尽くして外来をやっても、遅いと言われる時

外来が混んでいると、医者なんてやってられない気持ちになる。

水も飲まず、トイレにも行かず、外来をこなしているにも関わらず、なぜか一向に外来が進まない。

死力を尽くして、1患者あたり5分でさばいているのに、患者さんの世間話に時間を取られ、結局少しずつ時間を削られていく。

最終的には、午後の最後の方の患者さんに

先生、遅いよ

と言われる瞬間、医者なんてやってられない。

 

2、当直中、やっと眠れると思ってベッドインして5分で呼ばれた時

外来が終わり、手術が終わり、いざ夕方からの当直。

当直は忙しいが、患者さんからすれば、容体が悪いから来ているわけで、なんとかしてあげたいという気持ちの方が強い。

17時から開始して、ノンストップで働いて9時間、現在時刻夜中の2時。

やっと眠れると思い、当直室のベッドにイン。

気絶する様に眠る。

ピリリ!ピリリ!

自分のピッチが鳴る。誰か患者が来たようだ。

時計を見る。なんと、5分しか経過していない…。

この時の絶望感は、味わった人にしかわからない。

3時間くらい経ったかなと思って、5分しか経っていないという事は、実質的に2時間55分、自分が思っているよりも朝が来るのが遅いという事で、当直医としての労働時間が長いという事に他ならない。

はあ、医者なんてやってられないな。

と思いながらも、重い扉を開けて当直室から出て、救急外来へと向かうのだが。

 

3、人が足りなくて36時間くらい働いている時

当直が終わり、朝帰ろうかなと思っても、帰れない日もある。

結局1〜2時間しか寝ておらず、当たり前のようにめちゃくちゃ眠い。

人が足りないからという理由で、オペ室での仕事を任される。

寝そうになる。正直、少し寝てる。

トイレに逃げ込んで、便器をまたいで座った瞬間、少し休憩できる。

そんな時、ふと思ってしまうのである。

医者なんて、やってられない。

疲労と眠気で、本気でやっていられない、もう今すぐ帰って寝たいと、思う。

 

4、当直明け、やっと仕事が終わったと思って帰宅しようとしたら急変した時

オペ室での仕事が終わり、夕方やっと帰ろうとした時。

こういう時に限って、急変が起こったりする。

もちろん、結局帰れない。

ここまで来ると、もう男でも泣きたくなってくる。自分の努力は、一体どこに消えていっているのか、よくわからなくなる。

書きながら昔のことを思い出してしまう。

医者なんて、やってられないな。

というか、ここまで良くやって来たな、自分は。

他のお医者さんもそうだが。

 

5、当直明け、自宅のベッドで快眠しているも、くだらない看護師の電話で叩き起こされた時

やっとの思いで帰宅。

1日ぶりの自分のベッド、1日ぶりの睡眠。

一周回って、枕と布団が「愛おしい」存在に見えて来る。

やっとぐっすり寝ているのに、電話が鳴る時がある。

自分の患者の事を、見てくれている看護師さんからの電話だ、仕方がない。

しかしたまに、本当にどうでもいい事を確認するような、くだらない電話で起こされる事がある。

こういう時、正直こういう看護師にはかなりの怒りを覚えるが、看護師側からすれば「そういうルール」になっているわけであって、致し方ない。

攻撃する気もなれず、頭に思い浮かぶのは「やってられない」という文字だ。

 

6、気づいたらプライベートな時間を過ごさず1ヶ月経っていた時

医者をやってられない、と思うのは、プライベートがごっそり削られている時に気づいた時だ。

特に、プライベートが一切無く月が変わっていると、悲しい気持ちになる。

仕事が好きなら良いが、好きじゃないのに、仕事にこれだけ時間を取られているのか、と思うと、辛い。

 

7、患者の理不尽なクレームを受けた時

多くの患者さんは自分の努力をねぎらってくれ、感謝してくれる。

しかしながら、そうではない患者さんもたまにいる。

明らかに理不尽なクレームを言う患者さんもいる。

そういう患者さんに、ひたすら理不尽な事を言われ、罵倒されながら、謝罪していると、なんだか不思議な気持ちになる。

怒りとか、悲しみではない。

はあ、やってられないな、医者なんていう職業は。

そういう気持ちになる。

 

8、患者の汚物や血液に汚染された時

当然ながら、患者さんの汚物や血液などが、自分の体にかかる事がある。

それは仕事上仕方ない。

しかしながら、その仕方なさゆえ、誰が悪いわけでも無いがゆえに、やるせない気持ちになるのだ。

自分の健康のためにも、医者という職業を長く続けるのは、良く無いのではないだろうか。

給料が2倍になっても、健康には変えられない。

そういうリスクを負っているという意味では、とてもやってられない職業である。

 

9、不慮の事故が発生して裁判になりかけた時

僕は幸いにして経験が無いが、隣の机の先生や、仲の良い先生が裁判になりかけて、青い顔をしている姿を見た事がある。

医者をやっていればわかるが、不良の事故は100%予防できない。

長く医者をやっていれば、不慮の事故に巻き込まれる事だって、当然あっておかしくはない。

そんな時、誰も悪く無いにも関わらず、患者さんは被害を被る。

やるせない怒りがそこにはあって、その怒りを理不尽に医者にぶつけてくる事は、結構ある。

実際に裁判にまで至る事だって、あるだろう。

医者は、人の人生に大きく影響を与える仕事をしている。

何かがあった時、その責任は重大だ。仮に過失がなくても、結果として患者さんは永続的に健康や機能を損ねる事がある。

こういう事に頭を悩ませている、先輩のお医者さん達を見て来て強く思う。

医者は長く続けるもんじゃ無い。

少なくとも、第一線で活躍し続ける様な事は、しない方が良い。

医者は20年も30年も、やっていられない職業だ。

 

実際、医者なんてやってられない

これ以外にも、医者なんてやっていられないと思うタイミングなんて、腐る程ある。

実際に、やってられない仕事なのである。

やればわかる。

もう見栄とか、カッコ良い医者でありたいとか、外部からの自分に対する評価なんて、どうでもいい。

全てを投げ捨てて、逃げ出したいと思ってしまうくらいの、仕事内容ではある。

僕はもう、既にほとんど医者をリタイアした。

週2日くらい、軽く働いているだけだ。

その辺の事については、僕がバイトを頑張る理由に詳しい。興味のある人はご覧いただければ幸いだ。

僕がバイトを頑張る理由

あとは子供と公園で遊んだり、両親含め家族と料理を作って食べたり、車で国内旅行に出かけたりしている。

家族と過ごす時間というのは、良い。

このために生きているのだと、実感できる。

もちろん、活動は家族でけではない。

1人で温泉に泊まって、本をひたすら読みふける事もある。

平日だと人がいないので、結構集中できる。

はっきり言って最高だ。

そんなに派手な生活をしなければ、生きていけるくらいのお金はある。

全然、元の状態に戻りたいとは思えない。

今もなお、日本の病院を支えるべく日々尽力しているお医者さんには、頭が上がらない。

しかしながら、僕にはもう、医者という仕事は、とてもじゃないがやってられない。

やってられないのだ。

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本物の医局を抜けたので、民間医局にお世話になっている。

医師賠償責任保険は、絶対に入るべきだ。

自分を医療訴訟から守ってくれるのは、保険しかない。

またバイト案件もそれなりに送ってくれるので、上記2つと組み合わせてたまに使っている。

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