若い医師につきまとう問題、それは「専門医取らないといけないか」問題。
専門医以上の医師にもつきまとう問題として、「この専門医維持しなければならないのか」問題というのもある。
専門医というのは取るのにそこそこ労力が必要だが、さらに言うと維持も結構大変だ。
果たして専門医は、本当に必要なのだろうか?
専門医はいらない?最初から取らないという選択
僕は正直、開業の予定が無いなら不要なのじゃないかと思っている。
専門医免許がある事で診療報酬が上がる、というのであれば取得する意味合いはかなり大きい。
しかしながら、実際にそれが導入される可能性はかなり低いだろうし、仮に導入へ向かったとしても色んなゴタゴタで時間がかかるだろう。相当先の未来の事だ。
あまりに先の未来は見通しが立たないし、考えても仕方がない。
だとするならば、現状のキャリアで不要であれば、それは不要で良いのだと思う。
維持するためのコストを支払うだけの、リターンがあるのかという問題がある。
おそらくだが、多くの医師が専門医を捨て始めた時、専門医機構が焦って何とかしようと動くだろう。
診療報酬と専門医免許をなんとか結びつけ、専門医を持っている医師を雇う事の経営上のインセンティブを植え付け、専門医機構へと人が集まるような力を作り出すだろう。
しかし2019年現在、まだ専門医を取得しない医師の方がマイノリティである。
つまり今なら、専門医を捨ててもデメリットが生じるまで、ある程度の時間的なビハインドがあるとも考える事ができる。
ならば今、専門医取得のコストを支払わない選択肢は、ある意味価値の先取りをしている事になるので、賢い選択肢かもしれない。
せっかく取った専門医が勿体無い?必要ないなら更新しないのもアリ
もしあなたが既に専門医をいくつか取得していて、不要そうな物があればとっとと手放すのも1つの選択としてアリだ。
理由は上記の通り。現状インセンティブが無い上に、しばらくそのインセンティブが生まれる環境が無いからだ。
今の仕事、キャリアに差し支えない不要な専門医は、更新しない。
これも賢い選択だと思う。
例えば開業して、十分地域に根付いて、新規の患者というよりは現状の患者のフォローで十分やっていける場合、専門医は不要かもしれない。
専門医という免許は、人間と人間の信頼関係以上には、決してなり得ない。
仮に専門医を失っても、自分についてきてくれている患者さんは、そのままきっとついてきてくれるはずだ。
それよりも、患者さんが欲しがっている事は他にあるのではないだろうか。
ちょっとした雑談が好きな患者さんもいるだろう。
やたらと心配性で、とにかく話を聞いてほしい患者さんだっている。
患者さんのニーズは何か、本当にセンモンイという肩書きを重要視しているのか、考えて判断しよう。
大学院進学も、いつの間にか当たり前では無くなった
専門医不要説を先取っているのは、大学院進学しない説だと思う。
少し前までは、大学院に行く事がフツウとされていたが、今となってはそれは消えて無くなった。
大学院に行く人はあくまで研究に興味がある、アカデミックの道に進みたい人材だけであり、教授達も昔ほど大学院進学を強く勧めたり強制する事は無くなった。
こうして時代の流れと共に、少し前まで「当たり前だった事」が次第に無くなっていく。
いつか専門医についても、同じ事が言える時代がくるかもしれない。
少なくとも
何となく取った方が良さそうだから取る
という、何も考えずに取得しようとするのは、やめた方が良い。
時間と労力の無駄になる可能性が高い。
それでも専門医が必要か迷ったら
専門科や病院からの信頼関係などによって、専門医の要・不要は異なるだろう。
一部の科では、やはり専門医が無いとやっていけないという科ももちろんある。
自分の科で、自分の進みたいと思っているキャリアで、現状専門医が必要なのかどうか、という事を判断する良い方法がある。
それは「転職案件やバイト募集で、専門医がどれくらい重要視されているか確認する」事。
つまり現状、医師の人材市場において専門医がどれくらい重宝されているのか、自分でチェックしてみれば良い。
僕としては、時代の流れが変わる前に、とっとと稼ぎ切ってしまうつもりだ。
早めにリタイアし、のんびり暮らす。
読めない未来に対して、不要な価値を支払って不安になるのは、何とも無駄な事。今わかっている事から最も効率的な手を打とう。