医師にとって転職とは大きな決断。
人によっては医局という大きな結界から出て、魔物の棲む世界に飛び出していくような気持ちになるだろう。
まして家庭があるような人は、医師であるあなたが一家の大黒柱である可能性が高い。失敗はできない。
そんな医師の転職だが、失敗しないためにはまず「医師の転職における成功とは何なのか」を確認する必要がある。
医師の転職は何を持って成功とするのか
医師にとって転職を成功かそうでないかを判断するのにあたって重要なのは、「転職したい」と思った原因となる不満が解決されたのかどうか、ここにかかっている。
そもそも自分は何が理由で転職したくなったのか、思い出せるだろうか。
- 仕事が不平等だから?
- あまりにも労働時間が長いから?
- 当直がつら過ぎるから?
- 定時上がりの契約なのに、定時で帰れないから?
まずここを思い出す事から始めよう。
自分の中の解決したい問題を解決するのが成功
自分にとっての不満、解決したい問題を思い出せただろうか。
それを転職によって解決する事ができたら、おそらく転職成功だと言える。
逆に言えば、医師にとっての転職失敗とは、自分にとっての不満や問題が転職によって解決しない場合。転職先の病院でも似たような不満を持ち、また転職しようとするかもしれない。
医師の世界は狭いので、あまり短期間に複数回転職して変な噂が立つような事だけは避けたいところ。
医師の転職で失敗してしまう2つの原因
医師の転職における失敗は、転職するまでに至った自分にとっての不満や問題が、転職によって解決されない事だと述べた。
そのような事態になってしまう原因は、大きく分けて2つ存在する。それは
- 転職エージェントに自分にとって解決したい問題をうまく伝えられない
- 転職エージェントが問題を解決してくれるような条件の適切な勤務先を紹介してくれない
のどちらか。
自分が本当に何に悩んでいて、何に不満を持っていて、何が理由で「転職したいなあ」と思ったのかを自分で理解できていない場合、当たり前なのだがその不満を転職によって取り除く事はできない。
まぐれで取り除く事ができる可能性はあるが、例えて言うならば「目を閉じて適当にオペして病巣がたまたま摘出できた」のと同じであり、非常に不確定で危ない。
病巣がどこにあって、どれくらいの広さなのか確認してから、安全に手術に挑むべきだ。
そして仮に病巣がどこにあるのかわかっても、それを摘出できる手術の腕が無ければ病巣は摘出できない。
同じように、登録した医師転職サイトのエージェントに、自分の抱えている問題を解決してくれるような条件の勤務先を紹介できる力が無ければ、完全に不満を取り除く事は難しい。
いずれの場合も「医師の転職の成功」の定義からは外れてしまう事になる。
医師の転職で失敗しないためのコツ
ここまでで医師の転職において、失敗してしまう原因がわかった。ここまでくれば失敗しないためのコツは簡単。
失敗してしまう原因を避ければ良い。
具体的には
- 不満カードを書く
- 複数の医師転職紹介会社を利用し案件を吟味する
の2つのコツがある。
1、不満カードを書く
医師の転職を失敗させる原因の1つ目である「転職エージェントに自分にとって解決したい問題をうまく伝えられない」事を避けるための方法。
自分が転職したいと思った原因を箇条書きにまず列挙する。
次にそれを、解決したい順番で並べる。大抵は最初に思い浮かんだ不満が自分の中での根強い不満である事が多いので、まあ上から順番に書いていけば、その順番が「解決したい順番」だろう。
その中でも、ここまでは絶対に譲れないという不満をマーキングする。
このカードを僕は不満カードと名付けている。
このカードを転職エージェントが見れば、一目でマーキングされた問題は解決できる勤務先を探してくるし、解決したい優先度の高い問題からより優先的に解決できるよう、勤務先を探してくれる。
まずはこの不満カードを作成し、自分の心の中を明確にする所から始めよう。
詳しくは医師の転職、具体的な手順へ。
2、複数の医師転職紹介会社を利用し案件を吟味する
医師の転職を失敗させる原因の2つ目である「転職エージェントが問題を解決してくれるような条件の適切な勤務先を紹介してくれない」事を避けるための方法。
不満カードを作成、無事自分の心の中の不満を顕在化させ、それを転職エージェントに伝えても、転職エージェントがその不満を解決できるような勤務先を見つけて来る事ができなければ転職は失敗に終わる。
それを避けるためには、複数の医師転職サイト、医師転職紹介会社に登録し、自分で案件を吟味する必要がある。
吟味する方法は簡単で、不満カードと照らし合わせながら、解決優先度の高い不満がより解決されるような案件を選べば良い。
例えば
A社よりB社の持ってきた案件の方が、自分にとっての不満No.1をより解決してくれそうだな
とか
C社よりD社の持ってきた案件の方が、自分にとって不満No.3をより解決してくれそうだけど、どえらい田舎だな…家族の事も考えてC社の方にするか
など、自分の都合以外の事と天秤にかけて、あとは自分で決めれば良い。
逆にD社の担当エージェントに
D社さん、確かに僕にとってより良い条件の病院なんですけど、ちょっと田舎過ぎます…家族の事も考えると、自分の不満カードに対する条件はもう少し譲歩するので都市部が良いです
と伝えれば、もしかしたらより良い条件の勤務先を探してくれるかもしれない。
やってはいけないのは、面倒くさいからといって、1社の条件だけを見て決めてしまう事。
医師にとっての転職は大きな決断。失敗しないためにも、少しの手間は惜しまないようにしよう。
どんな転職会社かあるかは【タイプ別】医師の転職サイトの選び方を現役医師が解説を参照。
最後に
いかがだっただうか。これは実際に僕が転職をする際に、ビビって編み出した方法である。
今のところ周りの人にこの方法をオススメして実践し、転職が失敗だったという意見は聞いていない。
ここまで読んでくれたあなたの転職活動が、失敗する事の無いよう、祈っている。