新型コロナウィルスが本格的に日本でも蔓延してから、約半年。
あらゆる業界に影響を与えており、特に観光、航空機業界はもはや虫の息だ。
一見すると安定して仕事にありつけそうな、医師という職業にも、影響が出ている。
コロナで医師のバイトが消滅
コロナで医師のバイトの数が激減した。
激減したので、医師バイトの単価もガクッと落ち込んだ。
−30%程度の落ち込みは、あるのではないだろうか。
これは総合病院だけでなく、開業医やクリニックレベルでも同等である。
総合病院における、高度なスキルを求められるバイトも減少している。
開業医やクリニックでの、外来バイトも減少している。
これは、患者の受信自粛による、需要の減少が寄与していると思われる。
医師のバイトは、もう元には戻らない
1つ僕の中での仮説で
- この医師のバイト水準は、おそらくこのまま続く
というのがある。
理由は単純明快で、一気に常勤が増えたからだ。
バイト仲間が、この不安定な雇用情勢に怯えて常勤として転職し始めており、しばらくそこに居続けるという。
この現象を、具体的な数字を交えて解説する。
病院が10個ある。1個の病院につき、便宜的に10/週の「医師の仕事」が必要だとする。
そうすると、毎週100の仕事が存在する。
医師1人が常勤になると5/週の仕事をし、バイトになると1/日の仕事量だとする。
コロナの前は、こんな感じ。
常勤:10人=50/週の仕事量
バイト:50人が週1=50/週の仕事量合計、100/週の仕事量
流石に50人というのは多いので、実際は
常勤:10人=50/週の仕事量
週3バイト:10人=30/週の仕事量
週1バイト:20人=20/週の仕事量合計、100/週の仕事量
という感じだろうか。
ここで、コロナが蔓延。
一気に必要仕事量が減少し、バイトがクビになった。
こんな感じ。
常勤:10人=50/週の仕事量
週3バイト:5人=15/週の仕事量
週1バイト:5人=5/週の仕事量合計、70/週の仕事量
この状況に恐れをなしてしまった医師達が、常勤先を探し求めた。
結果、こんな感じになった。
常勤:12人=60/週の仕事量
週3バイト:2人=6/週の仕事量
週1バイト:4人=4/週の仕事量合計、70/週の仕事量
常勤が少し増えただけで、バイト量は結構、調整される。
仮にこの状況で、常勤がもう少し増えて、合計の仕事量が元の水準(100/週)に戻ったとしよう。
こんな感じ。
常勤:15人=75/週の仕事量
週3バイト:5人=15/週の仕事量
週1バイト:10人=10/週の仕事量合計、100/週の仕事量
コロナの前と比べると、週3バイトが半分、週1バイトが3分の1になっているのが、わかるだろうか。
社会的にインパクトのある出来事が起こり、医師の常勤が増えていくと、どうしてもバイトはガクッと減ってしまうのだ。
そしてその影響はしばらく続くので、医師のバイト水準は簡単には元には戻らない。
現実的にどうなるか、確率論的な話は横に置いておいて、実際にそうなるという前提で、今後の医師はライフプランを立てていくべきだと言えるだろう。
コロナ後、医師のバイトが消滅した世界で
今後しばらく、医師のバイト水準は乱れたままだ、という事を解説した。
しかしながら、僕はこれで良いと思う。
むしろ、医師が常勤をやめてバイトを転々とする事で、経済的には潤い、間接的に病院を通じて医療費からお金をかすめ取っていた構造は、是正されるべきだ。
今回は、コロナが自然現象的に解決してくれそうではある。
では、我々医師は具体的にどうすれば良いのか。
簡単だ。
需要が増える領域、地域、分野での医師の仕事をすれば良いだけの話だ。
結局のところ、仕事が少ないとか嘆く人間の何が悪いかというと、身を置く場所が悪いのだ。
人口動態的に必ず訪れる、慢性期への需要。
衰退する地方でも、確実に慢性期医療への需要は存在する。
遠隔診断など、新しい手法についても法律が整備され、開拓されていくであろう。
1つだけ言えるのは、自分の磨いてきた医者のスキル、みたいなものに固執して、変なプライドを捨て去る事ができない医師は、真綿で首を絞められるように、苦しくなっていくだろう。